代表・渡部純一の記事

AIが書いたメールに、
ダメ出しを10回しました。

うちの文面は、全部AIが書いています。この記事もです。それを前提に、8月にあった実物を1つ書きます。申込の自動返信メール1通に、私がダメ出しを10回入れました。

「AIの文章は使えない」という話ではありません。逆です。日本語は10回とも通っていました。通っていたのに直した理由が、今日の話です。

2026.09.09|株式会社サマーウインド 渡部純一

直したのは日本語ではなく、
商売の順番でした。

初稿697字が、557字になりました

申込をいただいたときに自動で返るメールです。AIの初稿は697字。完成は557字。消した字数より、消した理由のほうに価値があります。

10回のうち、いちばん大きかった直しを先に書きます。

初稿にはこう書いてありました。「写真をもらえたら中身入りにします。届かなければ見本を入れた形でお送りします」。親切に見えます。この1文が、申込5件が止まった原因そのものでした。

親切が、逃げ道になっていました

御社専用の道具を作るには、御社の実物が要ります。いま使っている見積書の1枚、実際に来たメールの1通。それが届かないと、見本の数字が入ったままの物しか作れません。

なのにAIは「届かなくても作ります」と書きました。相手の負担を下げたつもりです。実際には、送らなくていい理由を用意していました。送らなくていいと言われた人は、送りません。届かないので、専用の物は作れません。作れないので、次に進みません。

直した形は1行です。「それが届いた時点で、作り始めます」。逃げ道を消しました。

残りの9回は、3種類でした

10回のダメ出しを並べると、3つに分かれました。

1つ目、聞かれていないことに答えている。「こちらから電話をかけることはありません」「私の会社には社員がいません」。相手は聞いていません。しかも「電話」と書くと、電話の存在を思い出させます。全部削りました。4回がこれでした。

2つ目、相手が知らない前提を指している。「見本の数字が入ったままになります」。相手はまだ見本を見ていません。「何の数字?」で止まります。

3つ目、決めたことを文章で薄めている。「先に実物をもらう」と決めた翌日の初稿に、「作ってから待つ」の名残が残っていました。文章は通っていたのに、設計が戻っていました。

どれも、日本語の間違いではありません。商売の間違いです。

検品は、誰がやるのか

ここが、御社に関係のある話です。

AIが文章を書く時代に、社長の仕事は書くことではなくなりました。出てきたものを、商売として通っているか見ることです。この10回は、私にしかできませんでした。「写真が来なくても作ります」が逃げ道になることは、うちの申込が5件止まっている事実を知っている人にしか分かりません。

AIは誰でも使えます。型は、御社にしかありません。この10回は、その型のほうの仕事でした。

なお、その10回を経た557字は、いまも毎日動いています。もう直していません。

御社のサイトを拝見して、いま消せる作業を5つ書き出します。1つ目は、今日お送りします。メール1通です。(AIは、営業日を知りません)

費用はかかりません。ご用意いただくものもありません。読んで違うと思われたら、そのままで結構です。私が1人で全部やるので、月5社までとさせていただいています。

御社の消せる作業を、書き出してもらう

それでは、ご連絡をおまちしております。

追伸

この記事の初稿にも、AIが「聞かれていないこと」を1つ書いていました。消しました。11回目です。

追伸2

御社の自動返信や案内メールに「届かなくても」「なくても大丈夫です」の一文があれば、それは相手の床を下げているのではなく、動かない理由を渡しています。1文消すだけで、届く物が変わります。

よくある3つ

Q. AIが書いた文章は、そのまま使えますか。
A. 日本語としては、ほぼそのまま通ります。書き手が自動返信1通に入れた10回のダメ出しは、全部日本語ではなく商売の間違いでした。聞かれていないことに答える、相手が知らない前提を指す、決めた設計を文章で薄める、の3種類です。

Q. いちばん大きかった直しは何ですか。
A. 「写真が来なくても作ります」の1文を消したことです。親切のつもりの逃げ道が、実物が届かない理由になり、申込5件が止まっていました。「それが届いた時点で、作り始めます」に直しました。

Q. AIの文章の検品は、誰がやればいいですか。
A. 社長です。文章が商売として通っているかは、その会社の事情を知っている人にしか判断できません。AIは誰でも使えますが、型はその会社にしかありません。

書いた人

渡部純一(株式会社サマーウインド 代表取締役)。ネットで売って20年、累計売上80億円。著書3冊、うち2冊が続けてAmazon総合1位。現在は社員ゼロ・AIだけで自社を経営しながら、中小企業向けのAI顧問「AI経営参謀」を月5社まで。